研究内容



整数論とは、整数の構造を知る学問なのですが、先ほども書いたように 良く知っているはずの素因数分解も複素数のなかで考えると全然違って見え てきます。専門的にいえばこれは、整数 2 は、有理数体の整数環での素数 ではありますが、その2次拡大体のガウスの整数環では、もはや素数ではなくな り(1+i)(1-i)と分解することを表しています。 このように整数の世界を様々に広げたときには、素因数分解が成り立った り成り立たなくなったりしますが、大ざっぱにいって素因数分解の一意性 が成り立たない度合いを表す数値として、類数とよばれる大事な正の整数が 決まります。これが私の研究対象の1つです。

代数体は、有理数の世界を少し広げたもので、実数全体や複素数 全体までは、大きくないもの、すなわち部分集合の一つです。代数体は、無限に 多くの取り方がありますが、この世界では、素因数分解の一意性は、もはや 一般には成立しません。 しかしその中に、素因数分解の一意性が成り立つもしくは、それに近い簡単な 構造を持つものが含まれています。素因数分解の一意性が成り立つ代数体は、無限に多くあると予想されていますが、まだ未解決の問題です。さらにより詳細に、次数というものを限った場合の代数体の数え上げは、整数論の大き なテーマの1つで、多くの数学者の努力でいくつかの場合には、全て数え上げられています。そこでいままで扱われていない代数体の無限系列を考えて、そのような代数体の数え上げをおこなっているのが、私の 研究テーマの1つです。

上では、素因数分解と絡めた数え上げ問題について述べましたが、実際は、 最初に述べた類数の計算に帰着し、いわゆる「類数1問題」というのが本当 の名称になります。意味のある代数体の無限系列をまず構成することから始め て、各代数体の類数の評価を様々な方法で行って、類数1の代数体の可能性 を理論的に有限個までに絞り込みます。その後は、計算機で、各代数体の類数 の計算を具体的に行ってやればある系列についての「類数1問題」が扱える ことになります。この間、評価の仕方、類数の計算の方法など難問が 山積していますので、それらを時間をかけて少しずつ工夫しながらクリヤーしてゆくの が、この問題の楽しいところです。

一方最近は、上記の問題と密接な関係のある整数の単数群の構造に興味を持っています。またABC予想と呼ばれるものに興味を持っています。この予想は、一言で言えば、3つの自然数 a,b,c が a+b=c を満たすとき a,b,c の素因数分解にある種 の制約があるというもので、整数の加法構造と積構造を結びつける重要な予想です。フェルマーの大定理に関連して有名になりました。実は、この予想を仮定すれば、フェルマーの大定理は、ある意味で解けてしまう 予想であったのですが、フェルマーの大定理がワイルスによって証明されたあとに、今の所証明が見当もつかない整数に関する様々な現象の多くをこの予想で解釈できる事が解ってきて、今興味を持っています。多項式についての同じような設定(a(x)+b(x)=c(x))では、定理となってますのでまんざら荒唐無稽な予想ではありません。 私が、今の所の興味があるのは、このような不定方程式に関する予想であるABC予想が、代数的な構造にどのように反映されるかという問題です。今の所いくつか部分的な結果が得られています。本当は、もっと数学の深い所で数の構造というものは、決まっていて、このような現象が起きているのは、我々の未だつかみえていないものの氷山の一角なのではないかと思っています。

abc予想に関する感想はこちらを見て下さい


片山 真一へのメイルはこちらにお願いします。 katayama@ias.tokushima-u.ac.jp

 

 

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