振動反応とは?
化学反応は,平衡状態へ向かって単調に進むと考えられていましたが, 1950年代に,ロシアの科学者ベローソフ (Belousov) は, 平衡状態にならず,周期的に振動する「振動反応」を発見しました。 ただし,実験結果は学会から認められず,無視されました。

その後,ジャボチンスキー (Zhabotinsky) が追試し,空間パターンの形成も確認され, BZ反応として広く知られるようになりました。

化学教室 三好教授のご好意により,振動反応をビデオ撮影させていただきました。
【試薬】 臭素酸カリウム,マロン酸,濃硫酸,硫酸マンガン(II)



なぜ振動現象が起きるか?
プリゴジンらは,BZ反応の簡略化した数理モデルとして, ブラッセレータと呼ばれる非線形の常微分方程式を提案しました。 これ以後,非線形性が非平衡現象を生み出している と 考えられるようになりました。

ブラッセレータに拡散項を入れた非線形偏微分方程式 (反応拡散方程式)に対し,数値シミュレーションをしてみました。 拡散効果で反応物の濃度が均一化してから,振動によって反応物の濃度が交互に増減しています。



(参考文献)吉川研一「非線形科学」(1992)